昔の人が、畑の日が暮れてもしばらく陽が当たって輝くこの大きな崖を見て、太陽の当たる崖という意味で「ようばけ」と呼んだと言われます。「ハケ」とは崖の古い言い方です。高さ約100m、幅約400mにおよぶこの露頭は、秩父盆地に厚く堆積している約1500万年前の新第三紀の地層が侵食されてできたもので、日本の地質百選に選ばれています。
この地層は、古秩父湾の海がだんだん浅くなっていったころの中(水深50m以下)で堆積したもので、崖の下半部の砂岩は「奈倉(なぐら)層」、上半部の砂岩と泥岩「鷺の巣(さぎのす)層」と呼ばれています。「奈倉層」はここの地名にちなんで付けられ、盆地の南西部から中央そして北東部まで、盆地内に広く分布している地層です。この地層からは、パレオパラドキシア、チチブクジラ、サメ、ウミガメ等の脊椎動物化石や貝・カニ・ウニなどの化石がたくさん見つかっており、特にようばけ周辺では古くから多くのカニの化石が見つかることで有名です。