札所32番法性寺のお船岩とタフォニジオサイト 29
基本はコレ!
観音堂の裏手は、ハチの巣上にたくさんの穴が開いた奇妙な岩窟になっている。ここは、岩石の中の塩類が表面にしみ出し、結晶化して岩石の表面を崩して形成した「タフォニ」という風化現象によるもの。
船のへさきのように突き出した断崖絶壁の巨大な砂岩「お船岩」があり、その先には「お船観音」が安置されている。ここは秩父盆地を見渡せる絶景ポイントになっている。
小鹿野町立長若小・中学校わきの道を西に向かい右に折れると札所32番法性寺の鐘楼門につきます。宝永7年(1710年)に建てられたもので、一階に仁王像、二階に鐘を吊るした珍しいものです。石段途中右側の石灯籠は徳川家の菩提寺である芝の増上寺(東京都港区)にあったものです。また、この寺には、長享2年(1488年)に書かれた秩父の札所番付があり、現在の順番が、江戸からの巡礼者向けに変えられたことがわかります。
右に砂岩層を見ながら、「秩父の苔寺」ともいわれる苔むした境内の石段を上っていくと、岩窟を背にした観音堂があります。裏の崖に蜂の巣状の構造(ハニカム)の奇妙な穴がたくさん見られます。この岩窟は、岩石のなかの塩類が表面にしみだし、水が蒸発すると塩類の結晶が成長し、岩石の表面を崩していく「タフォニ」という風化現象です。
少し戻って、沖縄の世界遺産・斎場御獄(せーふぁうたき)に似ている岩の間をくぐって山道を登ります。鎖を頼りに進むため注意が必要です。途中、風化による地形が所々に見られ、「竜虎岩」や十三仏が安置された岩窟などの見どころがあります。さらに進んでいくと、大きな船のへさきのように突き出たお船岩と呼ばれる奈倉層の砂岩の上にでます。この砂岩は、秩父に黒潮が流れこんでいた時に堆積したもので、多くの海生生物の化石を含みます。ここが札所32番法性寺の奥の院で、岩窟には大日如来像が、断崖絶壁の岩の上にはお船観音像があります。恐怖を克服して岩上を進むと、秩父盆地がよく見渡せる絶景ポイントとなっています。
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